ブレオナさん事件和解へ、「ブレオナ法」も可決

2020年3月13日深夜、ケンタッキー州ルイビルで発生した
罪のない一般人であるブレオナ・テイラー(Breonna Taylor)さんが
警察官に誤射され死亡したブレオナ事件。
このたびルイビル市が遺族と和解したと報じられています。
今回はあらためてこの事件について振り返ってみたいと思います。
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▶ ブレオナ・テイラー事件に関与の警察官についてはこちら
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ブレオナ・テイラー事件とは?

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It has been 150 days since Breonna Taylor was shot and killed by Louisville police during a "no-knock warrant" raid. In the months since, just one of the three officers involved—Brett Hankison—has been fired, and neither he nor the two other officers, Jonathan Mattingly and Myles Cosgrove, has been arrested or charged in her death. 150 days with no justice. Now, @oprah and our O team are further amplifying Breonna’s story and the fight for justice in her name by erecting 26 billboards of our September cover across her hometown of Louisville, Kentucky. Each billboard—one for each year of her life—features the cover image with a call to action that reads: "Demand that the police involved in killing Breonna Taylor be arrested and charged. Visit UntilFreedom.com." Tap the link in our bio for more. Breonna, sorry it’s taking this long 🙏🏽 (📸: @mitchellpj)

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事件は2020年3月13日深夜、ケンタッキー州ルイビルで発生しました。
26歳の黒人女性ブレオナ・テイラー(Breonna Taylor)さん宅に
覆面パトカーで乗り付けたルイビル警察(LMPD)の警察官3名が
私服でドアをノックすることもなく侵入したのです。
そのとき、私服警官3名はボディ・カメラを着用していませんでした。
ブレオナさんの「誰?」という問いかけに返事はなく、
突然ドアを蹴破って入ってきたことに驚いた
ブレオナさんのボーイフレンド、
ケネス・ウォーカー(Kenneth Walker)さんが
自己防衛のために発砲。
それに対し、警察官は22発もの銃弾を浴びせ返し
うち8発がブレオナさんに命中。
その後、命を引き取りました。

なぜブレオナさん宅に?


ブレオナさん宅に無断侵入した警察官3名は
麻薬取引の容疑者を捜索中でした。
しかしながら、彼らが捜していた容疑者は
そのときすでに拘留中だったのです。
ブレオナさんは救急救命士として
ルイビル病院に勤める善良な市民でした。
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ブレオナさん遺族がルイビル市と和解


事件から約半年が経った9月15日、
ルイビル市とブレオナさん遺族が和解が成立したことを
共同記者会見にて明らかにしました。
ルイビル市が遺族に市が支払った賠償金としては最高額となる
1200万ドル(約12億6400万円)を支払うほか
抜本的な警察改革、
警官が地元に住むことを奨励する制度や、
ソーシャルワーカーが警察の一部職務を支える制度の創設が
盛り込まれています。
また捜索令状については、
裁判所に申請する前に責任者が内容を確認してから
許可を出すことを義務づけています。

ブレオナさんを射殺した警察官3名は?


ブレオナさん事件に対する抗議運動は、
ジョージ・フロイドさんの事件をきっかけに発生した
BLM(Black Lives Matter)運動のあおりを受け、
さらに盛り上がりを見せました。
6月にはルイビル警察のトップが解任、
ルイビル市議会では、事前予告なしで家宅捜索ができる
「ノックなし令状」の禁止が
「ブレオナ」法の可決により決まりました。
それでも警察官3名のうち、
解雇されたのはブレット・ハンキソン(Brett Hankison)のみで
ジョン・マッティングリー(Jonathan Mattingly)巡査部長と
マイルス・コスグローブ(Myles Cosgroveon)巡査部長は、
共に異動になっただけ。
誰一人として、ブレオナさんを殺した罪には問われていません。
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有名誌の表紙を飾ったブレオナさん


そんななか警察官3名を処罰すべきとの声は根強く
また、ブレオナさんの悲劇を忘れてはいけないという市民の運動は
今も受け継がれ続いています。
ブレオナさんはこのたび、
オプラ・ウィンフリー(Oprah Winfrey)さんが手がける
「oprahmagazine(オプラマガジン)」の表紙を飾りました。
通常、オプラさんが登場する本誌の表紙において、
20年来初めてのことです。


また「ヴァニティ・フェア(Vanity Fair)」誌9月号では
エイミー・シェラルド(Amy Sherald)さんによるイラストで
ブレオナさんが表紙を飾っています。
「誰もがブレオナさんになりえた
他人事だと思わないで」
というメッセージとともに広がり続けるブレオナさん事件。
日本にいる私たちにとっても他人事ではありません。

【参考記事】
NY TIMES(英文):https://www.nytimes.com/article/breonna-taylor-police.html
Los Angeles Times(英文):https://www.latimes.com/entertainment-arts/story/2020-08-24/breonna-taylor-vanity-fair-cover-ta-nehisi-coates
NBC News(英文):https://www.nbcnews.com/news/us-news/breonna-taylor-covers-september-issue-oprah-s-magazine-n1235315