
「サザエさん」のマスオさんや「アンパンマン」のジャムおじさん、
「ドラゴンボールZ」の亀仙人など幅広い役柄でお茶の間を和ませてくださった
声優の増岡弘さんの訃報が届きました。
役柄の幅広さもさることながら、増岡さんの声は時代や世代を超えて、
キャラクターとともに愛されてきました。
なかでも世界で最も長く放映されているテレビアニメ番組として
ギネス世界記録を保持しているアニメ番組「サザエさん」のマスオさん役は
増岡さんが声優を務めた代表的な役柄と言っても過言ではないでしょう。
この機会に2019年に50周年を迎えた「サザエさん」を支えてきた声優陣をご紹介します。
フグ田サザエ
加藤みどりさん(1969年~現在)
なんと「サザエさん」アニメ放映開始の1969年から現在に至るまで
主役のサザエさんを一人で演じてきたのが加藤みどりさん。
もともとは磯野カツオ役を受けるつもりで参加したオーディションで
見事主役のサザエ役を勝ち取り、
2012年には園遊会で当時の天皇・皇后(現上皇・上皇后)に
「サザエでございます」と自己紹介したエピソードも残っています。
フグ田マスオ
近石真介さん(1969年~1978年)
「サザエさん」初代マスオさんのほかにも、
「おそ松くん」、「こちら葛飾区亀有公園前派出所」といったアニメのほか、
洋画や海外ドラマの吹き替え、バラエティ番組やCMのナレーター、
人形劇、ラジオなど幅広いジャンルで活躍されている声優さんです。
増岡弘さん(1978年~2019年)
もともとは絵描きを目指して東京芸術大学美術学部に入学したという増岡さん。
「自由な絵を描きたい」と中退した後は舞台美術の仕事に関わり、
次第に演劇の道に進み、やがて声優の世界へと足を踏み入れました。
声優のほかにも落語では益々家ちゃん助という高座名を持っていたり、
味噌づくりで番組出演したりと多才な特技をお持ちでした。
田中秀幸さん(2019年~現在)
なんとラジオドラマの主役として5歳でデビューされている田中秀幸さんは
短大卒業後、改めて科学忍者隊ガッチャマン」ヘムラー役で声優デビューを果たしています。
その後も「キャプテン翼」「CITY HUNTER」「キン肉マン」「SLAM DUNK」といった
人気少年アニメに数々出演しています。
幅広い声色には定評があり、アニメのほかに洋画の吹き替えなどでも活躍中です。
磯野カツオ
大山のぶ代さん(1969年)
大山のぶ代さんといえば、ドラえもんが有名ですが初代カツオも演じられました。
2ヶ月ほどで大山さんの妊娠をきっかけに自ら降板。
大山さんのカツオは幻と言えます。
放送開始時より使用されている「サザエさん」のエンディングテーマ
「サザエさん一家」のフルバージョンでは、
大山さん演じるカツオのセリフを聴くことができるそうですよ。
高橋和枝さん(1969年~1998年)
大山さんに代わって、自身の病気による降板まで
28年間カツオ役を務めたのが高橋和枝さんでした。
「鉄腕アトム」「妖怪人間ベム」「ドラえもん」ではスネ夫の母役など
数多くの名作アニメで演じたほか、
洋画の吹き替えにおいても活躍された高橋さん。
病床では「高橋さん」と呼びかけられても反応がなかったのに
「カツオくん」と声をかけると返事をしたというエピソードも。
冨永みーなさん(1998年~現在)
もともとは伊佐坂ウキエ役として収録に参加していた冨永さん。
収録中に容態急変のために倒れた高橋さんの代役として急遽カツオを演じ
そのままカツオ役を引き継ぐことになりました。
当初は高橋さんとは声質が違うことで、
視聴者からの問い合わせが殺到したそうです。
冨永さんはアニメのほか、
「開運!なんでも鑑定団」「どうぶつ奇想天外」「世界ウルルン滞在記」「いきなり!黄金伝説」
といった長寿バラエティ番組でナレーターを務めていることでも有名です。
磯野ワカメ
山本嘉子さん(1969年~1976年)
「ジャングル大帝昆虫物語」「みなしごハッチ」「あしたのジョー」といった
人気アニメで存在感のある脇役でストーリー全体をサポートしてきた山本嘉子さん。
名作洋画でも数々の作品で吹き替えを担当されています。
野村道子さん(1976年~2005年)
野村道子さんは「サザエさん」ワカメちゃん役のほか、
「ドラえもん」しずかちゃん役としても知られています。
夫である内海賢二さんが設立した賢プロダクションの運営に専念するために降板するまで
ワカメちゃんは29年間、しずかちゃんは26年間演じました。
津村まことさん(2005年~現在)
「学校の怪談」「キャプテン翼」「ワンダーベビルくん」など
最近のアニメ作品に多く出演されている津村まことさん。
洋画の吹き替えも担当されています。
フグ田タラオ
貴家堂子さん(1969年~現在)
貴家さんもサザエさん役の加藤みどりさん同様、
放送開始以来タラちゃん役を演じ続けています。
タラちゃんのほかに「ハクション大魔王」のアクビ、
「天才バカボンのハジメといった幼児や少女の役を得意とする声優さん。
磯野波平
永井一郎さん(1969年~2014年)
アニメ黎明期から活躍し、「サザエさん」をはじめ
「宇宙戦艦ヤマト」「機動戦士ガンダム」「うる星やつら」「YAWARA!」といった
人気アニメに数多く出演されました。
若い頃から年配役を演じることが多かったようです。
波平さんの「ばっかもーん!」は有名ですね。
茶風林さん(2014年~現在)
初代波平役の永井さん死去に伴い、波平役を引き継いだ茶風林さん。
その芸名はチャップリンに由来しているそうです。
舞台俳優としても活躍し、舞台上では得意のタップダンスも踊るとか。
「ちびまる子ちゃん」では永沢くんを演じています。
磯野舟
麻生美代子さん(1969年~2015年)
1969年の放送開始から2015年までと46年にわたって、
フネさん役を演じ、長年「日本のお母さん」としてお茶の間のファンに親しまれました。
2018年に老衰で亡くなるまで、声優だけでなく女優やナレーターも務め、
「サザエさん」の収録においても最年長として現場を取り仕切っていたそうです。
寺内よりえさん(2015年~現在)
麻生さんの降板に伴い2代目フネを演じている寺内さんは
女優としてテレビドラマや舞台でも多く活躍されています。
また洋画の吹き替えも数多く担当されているので、
気づかないうちにさまざまなところで寺内さんの声を耳にしているかもしれません。
長寿番組「サザエさん」を支える声優さん
長きにわたってお茶の間の人気を誇る「サザエさん」。
声優さんたちも長年「サザエさん」を支えてきたことがわかります。
増岡弘さんのご冥福をお祈りするとともに、
これからもサザエさんがお茶の間の平和なひとときに
あり続けてくれるよう願いたいですね。